
中野孝次「清貧の思想」
西行・良寛・兼行・芭蕉、純粋に「生きること」を味わい人生を楽しんでいた人々の思いを現代に。
本書はバブル崩壊後の1996年出版であり当時の「大量生産・大量消費」への警鐘を唱える部分もありますが、扱っている対象が古来日本人の美学であり世の中のシステムが大きく変化した2020年の現在でも違和感なく読み進める事ができます。
上にあげた歴史上の人物のように「持たない」「求めない」必要最低限の暮らしは現実的には難しいかもしせません。
しかし、その簡素な生活の奥にある「純粋な美しさ」や「生命の充実感」は本文で紹介される中でしっかりと感じ取れるでしょう。
情報過多な日常で日々の「幸福」を見つけられない多くの人たちに「今、生きている幸せ」を感じる大きな手掛かりになるのではないでしょうか。