未来志向 / 読書

「スマホ脳」アンディシュ・ハンセン

ドラッグのような中毒性、浮遊する自己位置、狩猟採集社会から引き継がれている脳の反応

話題の新書「スマホ脳」を読みました。

著者はスウェーデンの精神科医アンディシュ・ハンセン。精神科医が見る現代社会の象徴「スマートフォン」は我々の生活習慣や健康にどのような影響を及ぼしているのか。最新の臨床研究や脳科学から多くの多くのエビデンスを引き合いとしスマホの依存性や脳に及ぼす影響、適切な距離感を説いています。

ドラッグやギャンブルと並ぶ強い依存性

脳の報酬系物質「ドーパミン」を刺激するよう巧妙に配置されたコンテンツ。主に広告に寄与するビッグデータを収集・解析するために一個人の「嗜好と思考」をリサーチする仕組みが常に更新されています。SNSやYouTubeなどの更新には絶妙なストレスと期待が織り混ざり恒常的に「次のページ」を求めてしまう行動様式に陥りますが、それが「脳の反応」を利用したものであることが解説されています。

資源としての「集中力」

マルチタスクをしているという「錯覚」は結果的に不効率であることがわかります。どうしてもスマホを手放せない脳の反応や構造を説明しながら「集中力」を現代社会の貴重品としてその価値を訴えます。

SNSで錯覚する自己位置

デジタル世界のアバターが不特定多数に向けて日々を語る自我は、ある意味病的な「現代人の行動様式」と言えるでしょう。キラキラした虚構の「映え」他人のリッチをうらやむ生活は脆弱な自己像を蝕んていきます。

他人との「比較」により自分のポジションを推し量る事は社会を構築する人類には必須の能力ですが、その反面「比較そのもの」が自身の在り方を裏付けてしまうほどになってしまうと危険です。

「いいね」が欲しい。自分の意見を肯定してほしい。傷つきながらも近い存在と深く関わるより、イージーに多くの他人から承認されることを望んでしまう。「早い・安い・美味い」ファストフードのような人間関係はますます広がりを見せていきますが、その先に穏やかな幸福はあるのでしょうか?

※しかし私はSNSを通じて「全ての人間」がデジタル世界での健全なコミュニケーションを望んでいないことを肌で感じています。デジタル世界の住所は「もう一人の自分」を意識的にまたは無意識的に【あぶり出してしまう】ところに依存的な病理の深さがあるように思います。

太古から変化しない脳の仕組み

農業革命・産業革命・情報革命を経て人類のライフスタイルはその都度大きく変化しました。現代社会を生きる上で、他の肉食動物から襲われる危機や先進国での飢餓のリスクは基本的にほとんど無いと言える世の中と言えるでしょう。

脳の仕組みとそれに伴う身体反応は、狩猟時代から変化していないことを現代のライフスタイルに照合しながらの読み解いていきます。「自分はスマホを使っているのか、もしかしたらスマホに使われているのではないか。」意思のない機械の背景にはそれを創った人間がいます。彼らの目的とはなんなのでしょうか。

進化が加速するテクノロジーとの健全な共存を願って。

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