
D・カーネギー「人を動かす」
もはや古典とも言えるビジネス書の歴史的ベストセラーです。
初版は1936年(日本語訳初版1958年)なので既に80年以上前の本ですが、人間の本質についての考察が成されている本書は、全く古さを感じさせないどころかITの普及によりSNSなど、コミュニケーションの方法が変わった現代でも、その内容のほとんどが通用する「対人教科書」です。
本の内容は
- 人を動かす三原則
- 人に好かれる六原則
- 人を説得する十二原則
- 人を変える九原則
で構成されており、豊富な実例をもとに「相手の心情」に寄り添い、自身のなすべき考え方や行動を示しています。
全編を通して感じた事は「誠意を持って相手を理解する」という事です。
相手を「自分の意のままにコントロールする」のではなく「共に協力して成長する」という大切さを説いており、この考えは、スティーブン・コヴィー博士の名著「七つの習慣」でも第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」にも当てはまる事でした。
うわべの「理解したフリ」や「お世辞・社交辞令」ではなく、相手を尊重して寄り添う事により、初めて相手は自分の思いを汲み取ってくれると言う教えは、ひるがえって「小手先のテクニックに終始しない」と言えるでしょう。
不誠実な行いは、いつか手痛い仕返しとして結果に現れる事を肝に銘じつつ、人に接し、社会生活を送らなければと襟を正す読後感を得ました。