読書

童門冬二:小説「上杉鷹山」

誠実なる為政者【上杉治憲(鷹山)】の「藩政改革」に生涯を注いだ人生を描いた熱い歴史小説

弱冠17歳にして藩主になった上杉治憲(鷹山)が窮困する米沢藩の財政を立て直すために様々な改革を断行するも、その道のりは険しく遠かった。

若く情熱のある青年藩主 上杉治憲(鷹山)

藩政改革に賛成する「うちに秘めたる微かな炎」を持った忠義ある家臣と努力と苦労をともに重ね困難を克服していく史実を基にした歴史小説は読者に「熱い思い」を抱かせてくれます。

改革反対派の行動と考え方は「強烈な既得権益」を守ろうとする私利私欲と、旧来より守り通して来た「侍としての生き方」を変えられないという人間の性を感じさせます。改革推進派の中心人物でも古き慣習に抗えず腐敗してしまうその姿は現代社会においても繰り返される光景といえるでしょう。

治憲はただ優しいだけの殿様ではありません。不義や不正を働く者を根気よく見守りながらも、ダメなものはダメと【切腹】など毅然とした沙汰を下す厳しさがありました。

如何に藩の在り方を改善していくか。それは自分の世代だけではなく、これからの未来を見据えた考えを追求しています。

人を愛し藩士や民を想う気持ちを忘れず未来を見つめた為政者

主に活躍したのは江戸から米沢に初入国した19歳から隠居した34歳までです。非常に若い時期に藩を納める重責を担っている事実は、計り知れない才覚と人徳を感じさせる歴史のロマンですね。

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