読書

ジョン万次郎に学ぶ

未知の世界へ自分の意思とは無関係に放り込まれたら…。

ふとそんな疑問が浮かび、歴史上の偉人に学ぼうと選んだのが、ジョン万次郎の生涯を描いた「椿と花水木」である。

上下巻 作:津本 陽

村の有力者の元での下働きに不満を抱き漁師になったものの、時化により漂流してしまう。

辛うじて無人島に流れ着き、数ヶ月のサバイバル生活を生き抜いた。

その後アメリカの捕鯨船に救助され船長にその才覚を認められ養子に。

アメリカでは猛勉強の末、言語のハンデを乗り越えて難関航海士の学校を主席で卒業、その後大洋での捕鯨生活の後、くすぶり続けていた郷愁から帰国を決意する。

当時ゴールドラッシュに沸いていたカリフォルニアで路銀を工面し、琉球王国経由で日本本土への帰還をはたす。

奇しくも幕末混乱期のなか 英語堪能な万次郎は幕府に登用され再びアメリカへ。

幕府内攘夷派の石頭連中に呆れつつも自身のなすべき事を実直に取り組み、晩年は波乱の人生をゆっくりと反芻するように平穏にすごした。

 万次郎は常に適応し知恵を絞り全力で生きた。貧しい家の生まれで後ろ盾も無い身分でありながら、幕府の役人として故郷に錦を飾っている。

しかし、注目すべきは立身出世の物語ではなく、常に自ら考え、決断し、行動するその勇気だ。

 身分と戦い、言語の壁と戦い、旧体制の思考停止と戦うその姿は、現代に生きる我々に多くの示唆を投げかけてくれる。

 物凄いスピードで変化し、先を読むにも不確定な要素が多すぎる令和時代にジョン万次郎の生涯から得られた「未知の世界で精一杯、力強く生きるその姿」に続きたい。

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